都議会女性蔑視やじへの舛添知事のコメント

snke140621知事定例会見書き起こしから抜粋

舛添知事定例会見で、都議会における女性蔑視やじに対する、舛添知事からのコメントがありました。
産経新聞に詳報が出ましたので、一部抜粋してご紹介いたします。

※本文内グレー字は当サイト編集担当者の加筆や説明

 

(記者、以下同じく)--今週開かれた都議会の一般質問でみんなの党会派の塩村文夏議員が一般質問をしているときに、「早く結婚した方がいい」などといった野次が飛んだと思うのですけども、知事もその議会にいらっしゃって、どのように感じられたか、またどのように受け止めておられるか、お聞かせいただけますか

(知事、以下同じく)まず、ああいう品位のない野次は断じて慎むべきだと思います。それから、都議会のみなさん方が良識に従って、これはきちんと対応される。知事がどうしろ、ああしろというような権限があるわけでもありませんし、議会の話ですから、議会がしっかりとやっていただきたいと思っております」

このように、まず知事はやじに対する批判を述べました。建前的な解答だったとしても、過去の知事の女性に対する発言を思えば、変化したと思います。
都知事選において、過去の問題多き女性関係や実子への接し方、女性蔑視発言などの洗い出しが市民や各メディアによって行われ、それらへの批判の声を受けたことが、このような変化のきっかけとなったのかもしれません。
このことは、女性に限らず全ての都民にとって喜ばしいことと思います。歓迎いたします。

--私も上から見ていたましが、ひとりそのような発言があったときに、ざわついて笑い声がしていて、何人かが笑っていたんですけども、知事も笑っていたようにうつったんですが、その時の状況をどういう形だったのか説明していただけますか

「あのですね、知事席に座ります。あなた見ていればわかりますが、私が何やっているかとっていうのは、一言一句、聞き漏らさないために、質問者の方をずっと見ています。
(中略)
私がここにいて、質問者がいて、そっち見ていますから。まったくわからないんです。そして、議員がにこっと笑われたんですよ。私は誰かが面白いことをおっしゃったので笑われたのかなって、同時ににやっと笑ったので、私もあれ何か楽しいことがあったのかなと思って、笑みを浮かべた、それだけの話です。

(中略)

--確認で、品位のない話があったというのは、あとの報道で気づいたということ

「そうです。そうです。あとで言われて、聞きましたので、そういうことは慎むべきだということです」

(中略)

--(略)議会のあり方そのものについて緩んでいるなという雰囲気は感じられますでしょうか

「あの、何度も申し上げますけども、私は議会のあり方にとやかくいう立場にありません。
(以下長くコメントが続くのでまとめると、かつて自らも議員であった国会と都議会の仕組みは違う、都知事は議会についてとやかく言える立場にない、まだ2回目の都議会なので、緩んでいるいないと言うだけの資格はない、との説明)
私がどうだこうだと今、判断できるだけ材料もあんまり今ないと思いますけども、少なくとも、ああいう今問題になっているような女性の尊厳を傷つけるような野次っていうのは、これは断じてやるべきではないと、そのことは明確に申し上げておきたいと思います」

--関連質問です。塩村議員は発言した議員を議長宛に今朝提出されました。同時にみんなの党の党本部から野次を発した議員の辞職の申し入れ書も提出されたということなんですけども、こちらについてはどのように受け止められますか

都議会のことは、都議会が決めていただきたい。それだけです。私の方からとやかくいう話ではありません」

(中略)

--野次についてなんですけども、オリンピックを控えた東京のイメージにも大きく関わる問題だと思うのですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか

「あの、だから、先ほど申し上げたように、野次でも、ま、あんまり、覚えていないので、こういう野次がいいという例はないけども、みんなが思わずにっこり笑う野次であるとか、よくぞそれを言ったなというような野次は、けっこう国会議員のときもありましたですね。だから、そのときは誰も文句は言わない。だけど、少なくとも、女性の尊厳を貶めるというのは、私もあとで報道で全部その中身を知ったんですけども、そのときは聞こえなかったから、それは断じてで許すべきではないし、オリンピックの憲章というのは、私が議会で他の方の質問に答えましたけども、ヘイトスピーチやったり、ある一定の人を貶めたりと、そういうことがなく、多様性で、共生社会を目指すんだということを、それをスポーツを通じてやろう、文化を通じてやろうと言っているときに、そういうやっぱり発言が出るというのは、私は恥ずかしいことであるし、これからは謹んでもらわないと、東京を世界一で、東京の魅力を世界に発信すると、先ほど言ったように、一生懸命東京の食材を使って、おいしいものを食べさせたって、なんだ片一方でこんなことをやっているんじゃないかと言われるのは、非常に心外だと思いますので、これはみんなで気を付けながらやっていくし、私は先ほど言ったように聞こえなくて、後でみなさんの報道で知ったんですけども、報道のみなさん方にも、しっかり監視役をまた続けていただきたいと思います」

(以下略)

 

恥ずべき「ヘイトスピーチ」を許さない具体策を

議会にとやかく言える立場にない、自分にとってはまだ2回目の都議会なので、緩んでいるいないと言える資格はないという、視点を新米知事の立場に絞ったコメントには、一理あるのかもしれません。
しかし、それだけですませていてよいのでしょうか。

今回のやじは、都議会運営上だけの問題ではありません。
都議会の真っ最中に、有権者に選ばれ、都民(当然半数は女性です)の生活に大きな責任を負っているはずの都議が、女性の在り方生き方、支援を要する事柄に対し、差別意識に満ちた個人的な感情で揶揄し、ある特定の生き方を押し付けるかのような発言をしたわけですから、公の場で女性の人格や人権を蹂躙したという大問題でもあるからです。
また、数人のそのような行動を、さらに大人数の集団で隠蔽しようとしているという「イジメ」そのものといっていい構造を見せ始めています。
このような状況に対して、議会運営と都知事という視点ではなく、一人の人間としてどのように解釈するのか、許すのかについても、もっと明確に知事の考えを聞きたく思います。

しかし、この会見において、ひとつ注目すべきコメントが引き出せていると思います。それは赤字にもしていますが「ヘイトスピーチ」という言葉を知事が使っている点です。

塩村都議への女性蔑視やじに関する質疑応答の流れの中で、「ヘイトスピーチ」という言葉が出てきたということは、知事はあのやじが「ヘイトスピーチ」の性格を持つと認識している、ということではないでしょうか。

また知事は、「ヘイトスピーチやったりある一定の人を貶めたりは、恥ずかしいこと」との認識もはっきり示しました。
恥ずかしいことと思う。ではどうするのか。女性蔑視に限らずヘイトスピーチを恥ずかしいことと思うなら、知事はその恥ずべき行為が、都を始め日本のあちこちで増加しつつある現在、知事として都として具体的に何をしていくのか、言葉だけではなく、今すぐに行動を起こしていただきたいと思います。